今回は少し珍しい形のご紹介になります。
なぜなら、大変申し訳ないのですがサイト掲載前にソールドアウトになってしまったからです。
ソールドアウトになったのは、民生の盛金丹18㎜でした
密かにフェア終了後の目玉商品としてご用意していました。
なぜなら私自身10年以上探していて、ようやく巡り会えた一品だったから。
印章に興味のある方なら、一度は耳にしたことあるでしょう。
『民生(みんせい)』
今は亡き象牙の象嵌士「山崎民生(みんせい)」さんによって取り出された印材。
最も有名な象嵌士でもあり、また文化功労者賞を受賞された民生さんが手掛けた印材は、証としてその名と花押が彫り込まれ、現在ではほぼ全て入手困難となっています。
その民生作の印材の中でもある程度の大きさを備え、かつ印材から盛り上がる金が特徴の盛金丹は別格です。
鈴印でも先代が所有していたものが数本ありましたが、全てソールドアウトになっていました。
つまり私の代になって初めて、入手することができた奇跡の品。
ようやく出会うことができたことに興奮しつつも、必要な方の手に渡るために入念に磨きをかけ、新たにケースを備え、来月の公開に備えていました。
ちなみに若干の色焼け(これは人工的に消すには漂白しかなく、また漂白は印材を痛めるため、鈴印で漂白象牙はは一切取り扱っていません)があったため、デッドストックで考えていました。
価格は(税別)1,300,000円をデッドストック価格で(税別)1,100,000円と設定していました。
印材との出会いはご紹介でした
こういうご縁は偶然が重なるものです。
たまたま西の方に行く用事があり、近くにお世話になった同じ印章業の社長様がいるため、せっかくだからと訪問させていただきました。
その際に「わざわざきてくれたんじゃ」と見せていただいたのがこちらの印。
正直、喉から手が出るほど欲しかったんですが、せっかくのお宝商品ですからなかなか切り出せませんでした。
もしかするとそれを察しられたのか「良かったら譲ろうか?」とのお話をいただくことができ、「ぜひ」とお言葉に甘えさせていただきました。
もしあの時足を運んでいなかったら?もしあの時見せていただけなかったら?そして譲っていただけなかったら、今回のお客さまとのご縁もありませんでした。
購入されたのはリピーター様
とはいえ価格が価格ですから、そんなすぐにソールドアウトになるとは考えていませんでした。
不思議なものです。
多分それは、何かの引き寄せなのかもしれません。
こちらは以前ブログにも書きましたが、特大の横目芯持ち印を購入されたお客様が、ふらりとご来店いただきました。
目的は民生が欲しいとのことでしたが、その中でも何かオススメはないかとのこと。
そして準備がようやく整った今回の民生。
他が思いつきませんでした。
そういえば特大の横目新持ち印ご購入の際も、土曜日の夕方に商品をHPに公開して、月曜日の朝イチに来られたのでした。
その際も、前回あっという間のソールドアウトになった横目新持ちの再入荷を心待ちのされてのご来店だったことを思い出します。
今回は一切の情報発信をしていないのにも関わらず、これをご縁と呼ばずに何と呼べばいいのでしょうか。
最後に
嬉しくもあり残念でもある、そんな不思議な魅了を持つ商品でした。
また多くの方々の関係があって初めて成立するのがデッドストックでもあります。
そんな1つ1つの点を結ぶのが鈴印の役目と考えます。
みなさんの想いに改めて感謝申し上げます。
ありがとうございました。
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マスターピース・デッドストックとは
【鈴印マスターピース】は、鈴印の長年の歴史に裏付けられた至高の傑作たち。
印章の素材のほとんどは天然材です。
天然であるということは一定でない、つまり品質には大きな個体差があるとも言えます。
個体差を知る例として、こんな話もあります。
最高級のレザーは最初に王室、次にヨーロッパのスーパーブランドに卸されるのはご存知でしょうか?
そして残ったレザーが次に、一般市場に出回るのです。
つまり本当に良いものは、長年の歴史の積み重ねによって流通経路までも決まっています。
逆に言えば、それらを後発として入手することは非常に困難です。
私たち鈴印は長年に渡り、特別に良い素材のみを集めて参りました。
その結果として、優先的に優れた素材が集まるようになりました。
そしてそれらは専用セラーによって、厳重に保管されています。
マスターピース
傑作・名作
【鈴印デッドストック】は、歴史ある店舗様において眠っている希少かつ状態の良い素材のみを厳選し、特別価格にてご提供する新しい試みです。
品質には徹底的にこだわり、信頼関係の元に譲り受けた最高級品のみをセレクトします。
印章店においての素材は、その店のこだわりです。なぜならその店主が惚れ込んで手に入れた特別な品々だからです。
ところが諸事情により、眠ってしまっている宝物のような素材もこの世にはたくさんあります。
そういった全国各地の眠っている宝物に再び光をあて、みなさまに届けることができないか?
つまり良い品と、それを欲するお客様の橋渡しをするのが、鈴印デッドストックです。