没後五十五年 關野香雲展 にお邪魔してきました
關野香雲先生、書・その中でも特に篆刻で名高い昭和を代表する篆刻家のお一人です。
その先生の没後55年を記念して、この度東京、銀座の鳩居堂さんで作品展が開催されました。
私も職人時代は東京に住んでおりましたんで、それこそあちこちで開催される展覧会に足を運び目を肥やす日々でしたが、最近はなかなか・・・
でも今回關野香雲先生と聞いたからには行かずにはいられません。
だって鈴印の象徴にもなっているあの表装を手がけて頂いた先生ですから!
鈴木印補 表装
その詳しくはこちらのブログから
作品展を拝見して
鳩居堂さんの3階に足を進めると、そこはとても厳かな雰囲気
係の方にご了承を得て一枚だけ撮らせて頂きました。
まず受付に記帳するのですが、さすが關野先生の作品展だけあって、筆と硯と墨しかおいてありません(汗)
この辺からも格調を伺い知る事ができます。
館内をじっくり見渡しますと理由は分からないのですが、なぜか不思議と鳥肌が立って、汗が止まらなくなりましてね。
作品の迫力もそうですが、毎日見てる表装の落款と同じ印(しるし)が押してあります。
この方に遠い過去お世話になっていると考えるだけでも、感慨もひとしおです。
中にはどうやって彫ったのか分からない巨大な鋳造の落款なんてのもございました。
詳しく伺うと「想像なんですが、最初ろうに彫ってそれで型と作り、そこの高温で熱した真鍮を流し込んで作られた」とか。
何はともあれ、日頃私も毎日判を彫ってますからね、素晴らしい作品を拝見しますと大きなヒントと共に巨大なエネルギーを頂けます。
今の1つ落款のご依頼を頂いておりまして、あまりに難しく方向性が定まらなかったのですが、ようやく光が見えましたモン!
ポスターを見るとここにも共通項が
実はこの展示会を開催するにあたってご用意されたポスター
こちらのポスターを見て驚きました!
驚いた理由はこちら
ポスターの下の文字
なんと、鈴印のポスターと同じフォント
この下のこの部分
ここに使われている文字と全く同じフォントなんです。
並べるとこんな感じ
ね!
ちなみに鈴印のポスターはご存じの方も多いかもしれませんが、カケラデザインさんプロデュース
つまり關野香雲先生作の落款+現代的なフォントの今回のポスター
そして私の父鈴木晴夫作の文字+現代的なフォントの鈴印のポスター
その構成から使われるフォントまで全く一緒!
こういった偶然にも言葉にできない運命を感じます。
超一流の世界を極めると近づいていくのかもしれませんね。
主催の關野様とお話してきました
主催は關野先生のお嬢様だそうです。
せっかくの機会ですから先生の作品を店頭に飾らせて頂いてる旨をお伝えし、少しだけお話させて頂きました。
こういった方は独特のオーラがございます。
終始緊張しっぱなしの私を和ませてくれるかのようにお話して下さいました。
その中でも印象的だったのは「父も元々ははんこ屋さんでした。だからはんこ屋さんにも興味があったんですよね。そのため地方に出かけてはその土地土地のはんこ屋さんに顔を出しては店主の方とよくお話されていたそうです。そしてはんこを彫る技術の伝承にも一生懸命でした。はんこを彫るという日本が世界に誇る文化ですから、これからも頑張って下さい。」
最後は励まして頂き場を後にしました。
なんかこう、職人の血が騒ぐっていうんですかね?
最近は仕事柄パソコンのソフトの勉強も大切ですし、経営者という立場上、経営の勉強も大切です。
でも改めて原点に立ち返り、自分の本職ははんこを彫る職人だという事を再確認し、熱い血が滾る感覚を思い出しました。
さて今保留になっている落款に取りかかるとしますか!
今なら凄いのができそうな気がしますんでね。