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本物を届けたい

  1. 鈴印と人
  2. 188 view

昨日はとある講演会に参加してきました。
講師は聞けば誰でも知っている大手飲食店の社長。
詳しい話は割愛しますが、その中でも特に印象的だったのが、トップの方の恐ろしいほどブレない姿勢でした。
対して私自身は、どちらかというとブレブレ型の経営者。
あっちが良さそうだと思えばあっちへ、そしてせっかく行ったのに気がつくと忘れてる的な。
とは言え、鈴印自体が80年以上も続いてることを考えますと、きっと先代から脈々と続いた太い根っこがあるはず、と改めて考えたときに思い浮かんだのはまたしてもお客様の言葉でした。

 

はんこだけはちゃんとしたお店で

本日も朝からいらしたお客様がおっしゃってくださいました。

今度兄が父の後を継いで社長になるんですけど、それに伴って一式色々変えることになったんですね。
普段は結構いい加減なところが多い兄なんですけど、ポイントだけはきっちりと指摘します。
「入り口に観葉植物を陶器の器で置く」とか私なんかはよく分からないんですけど、そういった点ですね。
そして今回「実印をこの機会に新しいのに変えて。ただちゃんとしたトコで作ってね」
そう言われたんでお邪魔しました。

海外からサイトを見つけてご来店されたお客様もいらっしゃいました。

海外に住んでいると日本の文化に飢えてきます。
サインの便利さと怖さを感じつつ、やはり日本の印鑑登録制度には大きな意義を感じます。
私は日本の落款の文化が非常に好きです。
なので実印を落款のような雰囲気で作りたいと思っているんですが、お願いできますか?
今度帰国した時に、引き取りに伺います。

最近ホームページを変えてから、遠方からご来店いただくお客様も増えました。

実印は一生モノなんで、納得して本当に良いものを作りたかった。
ただ最近はなかなか良い品を扱うお店が少なくなりました。
これまでも何度か作っていて、その度にがっかりしていたんです。
そして色々調べているうちに御社のホームページにたどり着きました。
正直価格だけ拝見しますと、他のお店は同じグレードでももっと安い。
なので実際に何が違うのか、実物を拝見したくお邪魔しました。
来て良かった!
同じグレードでも価格が違う理由がよく分かり、また自分の目で見て手で触ってここまで違うかと納得しました。
これからも本物を追求し続けてください。

 

「本物を届けたい」が鈴印の根っこ

みなさんからのお言葉が本当嬉しくもありますが、正直言って、毎回プレッシャーの連続です。
とは言え、それにお応えできるだけの熱量は持っているつもりです。
そしてそれが鈴印に深々と張っている根っこです。
つまり、それが信頼=本物なのかと。

私も昔から親父に言われていました。

実印に一番大切なことってなんだと思う?
一度購入したら長く使うだろ?
だからその間にトラブルがないことが一番大切。
トラブルってなんだ?
押しても綺麗に写らなかったり、材料が割れたりヒビが入ったり、同じ印影が他でも作れちゃったり、もっと言えばお客さんご自身が文字が気に入らなかったり。
だからそういったことがないように、技術も知識も感性もどれもが同じくらい大切なんだよ。

そのために私は親父に導かれるがままに、最初に技術を学ぶために職人の道に進みました。
その間に、それはそれはこれから一生かかっても追いつかないほどの数を彫りました。
すると素材の持つ良し悪しが、手にした瞬間に分かるようになりました。
数多くの厳しい先輩の職人さんに囲まれ、多くのお店からの受注を受け、文字の良し悪しや好き嫌いを学びました。
鈴印に入ってからはさらに厳しい親父に、ほぼ全てにおいてダメ出しを食らいました。

改めて考えますと私という人間は、鈴印というお店の本物を表現できるために1から親父に導かれていました。
長年ひたすら繰り返された作業から、ようやく本物が少しは分かるようになったような気がします。
そしてその本物を必要とされる方々がいらっしゃいました。
だからこそ私の知り得る本物を届けたい。

上のお客様は最後にこうおっしゃってくださいました。

正直言って私には本物を見抜く眼力は備わっていません。
だからあなたに委ねます。
よろしくお願いしますね!

 

最後に

専門店の特徴は、量販店よりも特化しています。
特化しているということは、例えば安く販売することだって可能なんです。
安い材料を仕入れて手間をかけずに作れば済むだけですから。
でも鈴印では、そういった商品はお納めできません。

なぜなら「本物を届けたい」が、脈々と受け継がれた根っこですから。
なぜなら「印を通してお客様の価値を高めたい」が、鈴印の理念ですから。

 

 

鈴印

〜印を通してお客様の価値を高めたい〜

鈴木延之
代表取締役:株式会社鈴印

1974年生まれ。
A型Rh(+)

1932年創業、有限会社鈴木印舗3代目にして、現プレミアム印章専門店SUZUIN代表取締役。専門店として、印章(はんこ)を中心としたブログを毎日発信。本業は印章を彫る一級印章彫刻技能士。
ブログを書き出したきっかけは、私の親父が店頭で全てのお客様に熱く語っていた印章の価値や役割そして物語を、そして情報が散見する中で印章の正しい知識を、少しでも多くのみなさまに知っていただきたいから・・・
だったのに、たまに内容がその本流から全く外れてしまうのが永遠の悩み♡

一級印章彫刻技能士
宇都宮印章業組合 組合長
栃木県印章業組合連合会 会長
公益社団法人全日本印章業協会 ブロック長

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