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お知らせ

水牛と牛角のケースは、年明けから変更になります ― KFアニリンゴートケースへの切り替えについて ―

印鑑ケースは、黒であるほど難しい
― KFアニリンゴートケースへの切り替えについて ―

 

鈴印ではこれまで、水牛用の印鑑ケースとして、オリジナルのブラックケースを使用してきました。

外も中も黒。
派手さはありませんが、印材の存在感を邪魔せず、静かに引き立てる。

「黒のケースが欲しい」というより、
「こういう黒であってほしい」

そんな想いから生まれたのが、鈴印ブラックケースです。

ただ、ものづくりは常に完成形ではありません。
役目を果たしたものがあれば、次へ進むタイミングも訪れます。

今回、鈴印では印鑑ケースをKFアニリンゴートケースへと順次切り替えていくことにしました。

工業製品から、手仕事へ

これまでのブラックケースは、合皮(シンセティックレザー)を使用した工業製品でした。

耐久性が高く、質感も良い。
価格とのバランスも含め、当時としては最適解だったと思います。

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一方で、次に目を向けたのは「手作りのケース」でした。

KFケースは、ひとつひとつ職人の手で仕立てられる印鑑ケースです。
同じ型であっても、微妙な表情の違いが生まれます。

工業製品には工業製品の良さがあります。
ただ、印章という「一生もの」を収める器として、
もう一段、上の質感を求めたくなりました。

それが、今回の切り替えの出発点です。

同じKFでも、素材で印象は大きく変わる

KFケースには、さまざまな革素材があります。

トカゲ革やワニ革。
確かに高価で、存在感もあります。

ただ、鈴印が求めている方向性とは少し違う。
主役はあくまで印材であり、ケースはそれを支える存在です。

一方、一般的な牛革を使ったモミ革のKFケースもあります。
悪くはありませんが、どうしても印象が均一で、少し物足りなさを感じていました。

そこでようやく辿り着いたのが、アニリンゴートです。

アニリンゴートとは何か

アニリンとは、顔料で表面を覆わず、染料のみで仕上げる製法を指します。

革本来のシボ、質感、表情を隠さない。
小さなムラや個体差も、そのまま個性として残ります。

そしてゴート、つまり山羊革。

山羊革は繊維が非常に緻密で、
薄くて軽いのに、しっかりとした強さを持っています。

派手さはありませんが、
触れたとき、光を受けたときにわかる奥行きがあります。

印鑑ケースという、毎日使うわけではないけれど、
長く付き合うものに、ちょうどいい素材だと感じました。

モミ革とアニリンゴートの決定的な違い

写真で並べてみると、違いは一目瞭然です。

左:一般的なモミ革
均一で、安定した質感。
工業的で、安心感のある仕上がりです。

右:アニリンゴート
自然なシボがあり、表情に揺らぎがあります。
同じ黒でも、光の当たり方で印象が変わります。

どちらが良い・悪いではありません。

ただ、鈴印が「今」選びたいのは、
この静かな存在感でした。

ブラックケースとアニリンゴートで感じる違い

またブラックケースと比べた際も、写真だけでは伝わりにくい違いがあります。

それが、手に取ったときの感覚と、ケースを閉じたときの感触です。

手触りの違い
これまでのブラックケースは、表面がつるつるとしており、やや滑る印象があります。
一方、アニリンゴートは、しっとりと滑らかで、手に吸い付くような感覚。
気がつくと、つい触り続けてしまう質感です。

締めたときの違い
ブラックケースは、カチッとした人工的な感触で、わずかに“ぶわつき”を感じることがあります。
それに対してアニリンゴートは、革自体がしなやかなため、ケース全体が自然に収まり、
金具同士がガチッと噛み合うような、心地よい締まり方をします。

見た目の違いはもちろんですが、
毎回手に取るたびに感じる、この小さな差の積み重ねが、
「長く使いたくなるかどうか」を分けるのだと思います。

年明けから順次、KFアニリンゴートケースへ

KFアニリンゴートケースは、
年明けから順次、水牛・牛角の個人印向けに採用していきます。

価格は、これまでのブラックケースより少しだけ上がります

工業製品から手作りへ。
合皮から、アニリンゴートへ。

正直に言えば、同じ価格のままでは不自然です。

その分、質感・触感・佇まいには、
確かな違いがあります。

将来的には、法人印への展開も視野に入れています。

ブラックケースをご希望の方へ

これまでの鈴印ブラックケースは、
お正月期間中のご注文をもって、順次切り替えとなります。

「あのブラックケースが好きだった」
そう感じてくださっている方がいらっしゃれば、
ぜひこの期間中にお選びください。

ブラックケースは、鈴印にとっても大切な一歩でした。

その存在があったからこそ、
次へ進む判断ができたと思っています。

印鑑ケースも、印章の一部です

印章は捺す道具であると同時に、
持ち主の価値観を映すものでもあります。

そして、その印章を収めるケースも同じです。

派手である必要はありません。
ただ、長く使うほどに、しっくりくるもの。

KFアニリンゴートケースは、
そんな存在であってほしいと考えています。

一生に一度の印章だから、
その器も、きちんと選びたい。

鈴印は、これからもそういう選択を重ねていきます。