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印章の手書き文字とPC文字ってそんなに違うの?

ここでは、印章の手書き文字とPC文字との違いを解説します。

みなさんが実印などを作る際に気になるのは、手彫りかそうでないか?だと思います。
理由として

  • 手彫りは複製されにくいから
  • PC彫刻は量産や複製が簡単だから

など、印章に唯一無二を求める方は非常に気にされる部分です。
でも実際には手彫り・PC彫刻といった彫刻工程よりも、複製を防ぐために重要なのは、手書き文字かPC文字かなんです。
その理由と、違いをご紹介するので、ぜひ印章製作の際の参考にしてください。

 

手書きの文字は機械で彫っても複製しにくい

まず大前提として、鈴印で製作する印は全て「手書きの文字」を使用します。
理由は以下です。

  • 同じものができない
  • 美しいレイアウト

手書きであれば、当然同じものは2つとしてできません。
仮に同姓同名であっても、その都度書くということは、みなさんが全く同じ文字が書けないように、私も書けません。
サイズや線の角度、さらに筆圧なども違いますし、文字も辞書の範囲で可能な限り違うものを使いようにしているため、同じものができないんです。
これを応用しているのが鈴印のプレミアムチタン印などの、手彫りできない印章。
1つ1つ手書きで作った文字であれば、例え機械で彫っても唯一無二になります。
逆に、手仕上げとうたっていても、PC文字で彫って枠だけを軽く削るだけのような手法であれば、同じものが簡単に量産できてしまいます。
つまり大元のデザインの作り方だけが、唯一無二を決めるということになります。

また手書きであれば美しいレイアウトが可能です。
詳細は後述しますが、手書き文字とPC文字は、はっきり言って私たちは別物と考えます。
印章は「丸の中に収める」という特徴があります。
対してPCフォントは基本的に四角に最適に収まる形状で作られています。
そのため、例えばお苗字だけとかで2文字の場合、どうしても無理が出てくるんですね。

では次に見た目の違いを、詳しくご説明していきたいと思います。

 

手書きの文字とPC文字は見た目が違います

まずは実際に見ていただきましょう。

左が手書き文字で、右がPC文字。

手書きの文字は、線の太さと空間が揃っていて滑らかです。
対してPC文字は、線の太さが揃っていないですし、空間も広い部分と狭い部分があって、曲がる角度も無理やりな感じがします。
ではなぜ、PC文字はこんな風に強弱が出てしまうのか?
その原因は先ほど述べた、四角い文字を丸の中に収めることになります。

言葉よりも実際のPC文字製作動画の方がイメージしやすいと思いますので、そちらをご覧ください。

最初丸の中に、四角に配置された文字。
印相体は丸の中にたっぷり文字を広げる必要があるので、上下左右に広げていきます。
そして伸ばす際に、線の太さが変わっていくのがお分かりになるかと思います。
これはつまり、引っ張ることでピクセルの形が変わっていくことが原因です。
また線の曲がる角度も本来はもっと滑らかにしたいのですが、フォントは四角の中に収めて作るため、どうしてもそれに合わせた形になってしまいます。

最近では「イメージビュー」といった形で、完成の文字を公開しているサイトがありますが、鈴印で対応していない理由もここにあります。
実際に彫刻した文字とあまりに違うものは、誤解を防ぐ意味でも出したくないんです。
そのためご注文に応じて、その都度書くという手法をとっている点をご理解いただけるとありがたいです。

 

手書きの文字とPC文字は長く使っていて差が出ます

印章を長く使っていて起こる問題は、写りが悪くなるコトです。
原因は材料の摩滅や目詰まりだったりするんですが、実は彫り方でも耐久性や目詰まりが変わってくるんです。
想像してみてください。
細い線より太い線の方が耐久性が高い気がしますよね?
空きが狭いより広い方が目詰まりしにくいですよね?

そういう視点で、もう1度見てみましょう。


 

極端に細い線は弱いですし、極端に狭い箇所は目詰まりを起こしがち。
それが文字が均等にゆったり入っていると、無理がある部分がないですよね?
これが長く使った際の、大きな違いに繋がります。

 

最後に

今回の解説で、印鑑の文字がお店によって全然違う理由がお分かりいただけましたでしょうか。

手書きの文字は、それぞれの文字に合わせて最適なバランスで書き上げます。
バランスが揃っていればデザインも美しく、また当然彫るのも彫りやすいですし、何より耐久性が高くなる。
これを親父は見事に一言で表現しました。
「良い文字は、彫りやすい」
手作りをし続けた人間ならではの発想ですよね。

実印などの登録印は、見た目に美しく、またできるだけ長く同じ状態を維持する役目があります。
そのためには最初の設計図が何と言っても一番の命です。
だから手書きが、最強なんです。

みなさんも実印の制作の際には、手彫りかどうかより、手書きかどうかを確認されることをオススメします。