これまで何度かアナウンスしておりますが、黒水牛の輸入が完全ストップしたため、現在残っている在庫をもちまして取り扱い終了となります。
現在個人向けの15ミリがソールドアウトになってしまいましたが、小判印もかなり少なくなってしまったため、現時点での在庫数をご連絡させていただきます。
黒水牛の小判銀行印が残りわずかになりました
まず現在の黒水牛小判銀行印の在庫状況です。
■黒水牛小判印
15ミリ:2本
13.5ミリ:2本
現在、黒水牛小判銀行印の在庫数は、15ミリ・13.5ミリ共に2本づつとなっています。
また全て上下の印のある「当たり付き」となっております。
黒水牛とは
改めてご説明するのが不要なほどポピュラーな印材です。
素材は水牛のツノで、人の爪と同じ成分の「動物性タンパク質」です。
爪は指先の角質が硬化してできている、簡単にいうと皮膚の延長です。
水牛のツノも同じく、水牛の頭の角質が硬化してできています。
タンパク質であるツノ材の最大の特徴は丈夫さ。
印章を痛める1番の原因は朱肉の油ですが、その耐性が非常に高いのです。
木材は木に油が染み込んで柔くなり経年とともに摩滅や欠けの原因になりますが、ツノ材は油による劣化がなく長期間において安心してお使いいただけます。
しかも鈴印で取り扱っている小山良製の水牛は、惚れ惚れするような見事な光沢を放つのが特徴です。
丈夫で美しいにも関わらず非常にコストパフォーマンスに優れ、長らく印鑑のスタンダードとなっています。
黒水牛の特徴
改めて黒水牛の特徴をまとめておきます。
特徴1:強度
印材として同じくポピュラーな素材に柘植がありますが、水牛とは圧倒的な強度の差があります。
印章に切っても切り離せないのが朱肉ですが、朱肉には油が含まれるため、柘植の場合は染み込んでもろくなる傾向があります。
対して水牛は爪などと同じタンパク質のため、油の影響を受けません。
そのため比較にならないほど長くお使いいただくことが可能です。
参考にこれまでの体感値ではありますが、柘植の場合約10年くらいで作り替える必要がありますが、黒水牛の場合はその5倍は持つ感じです。
劣化して作り替えのコストと手間を考えますと、黒水牛の方がコスパが高いと言えます。
特徴2:高級感
漆黒の艶は角印の特徴でもある曲線を見事に表現し、見た目にも惚れ惚れするほどの高級感を醸し出します。
またこの艶は、そのまま品質の良し悪しにも左右されます。
鈴印で扱う黒水牛角印は、最高級小山良製の特上品のみで、とにかくきめが細かい。
きめの細かさが独特な艶と高級感の源泉でもあり、触れた瞬間に良いものであることを理解できます。
また重量で見ると、柘植の24gに対して黒水牛は37g。
僅か13gではありますが、人の手はその僅かな差を感じ取ることができ、持った瞬間に欲しくなる魅力も備えています。
特徴3:押し心地
誤解されている方もいらっしゃるのですが、印章は固い方が捺しやすいです。
柘植や極論を言えばゴム印などは柔らかいため、ギュッと弾力があって捺しやすいと感じるようですが、実際は逆です。
私個人的にこの特徴は椅子や靴底に共通していると思っていますが、固い方が疲れませんよね?
昔教えていただいて納得したのが、柔らかい座面や靴底は触れた瞬間は心地よいんだけど、長時間となると体重を点で支えるようになるそうです。
対して固い場合は、面で支える。
つまり疲れにくい。
話は逸れましたが、印章にも同じことが言えます。
柔らかい印の場合、ある程度力で押し込める気がしますから、捺しやすいと勘違いしやすいんです。
ところが実際は固い印面の方が平らな捺印面に対してフラットになりやすいため、スッと軽く捺せるんです。
柔らかい方が捺しやすいと感じる一番の原因は、市場に多く出回る機械彫刻が問題かと思います。
そもそもが平らになっていない印面は、力を入れないと捺せないため渾身の力を込めて捺印。
毎回力を込めますから手は痛くなるし、印章もあっという間に痛みます。
対して手彫りの固い印は、上記の通り捺印することを前提に彫っていきますから、まるで芯を食うように自然に捺せます。
黒水牛が入荷がストップした理由
黒水牛の印材は、東南アジアを中心に生息する水牛の角を原材料とします。
水牛は東南アジアで、農耕用の家畜として育てられていたんですね。
農作業に人力では限界があるため、水牛の力を借りて農作物を耕していた。
ところが近年はトラクターなどの機械化に移行しているため、水牛の個体数が激減。
それに伴って当然印章の材料も、入手困難になってきていました。
また昨今の原油高もそこに追い打ちをかけてきているようです。
その影響によって現実的ではない高価格になってしまい、メーカーさんとしても取り扱いをストップせざるを得ない状況になってしまったそうです。
そして今後の再開の見通しは現時点では全く立っておらず、将来的に再販するかどうかも全くの白紙とのことでした。
代替品の検討
まず正確な状況をお伝えしたいため、黒水牛に関してお伝えしておきますが、すべての黒水牛がなくなるわけではありません。
今回対象になっているのは、鈴印で取り扱っている小山良黒水牛のみです。
しかし残念ながら、あまり大きな声では言えませんが他メーカーの黒水牛は、質感や経年変化の少なさだけでなく、1番の特徴でもある艶感が全く違います。
いわゆる「所有欲」を大きく満たすレベルに達しておりません。
私たちとしても迷いましたが、やはり一定品質をクリアしていない素材を取り扱うわけにはいきません。
そのため在庫限りという決断をいたしました。
とはいえもちろん黒水牛に変わる商品を取り扱わないというわけでもなく、現在代替品を急ピッチで選定中です。
こちらも確定次第こちらのブログでもアナウンスして参りますので、引き続きチェックしていただけたらと思います。
最後に
小判型は鈴印オリジナルで、同じ形がない・転がらない・お金が貯まる?などの理由で非常に人気です。
また価格と品質のバランスが良く、漆黒で高級感のある黒水牛は、特に人気の材料でもあります。
気になる方はそろそろ最後のチャンスになりますのでお早めにどうぞ。