お知らせ

ソールドアウトのお知らせ

通常印章は、限定生産が少ない商品の特性上、ソールドアウトするアイテムは少ない傾向がございます。
ところが鈴印には、鈴印にしかない素材もたくさんございます。
これは長年の歴史の中でお取引先との信頼関係のもと、特別にお譲りいただいた希少価値の高い品々。
そのほとんどが一点物ですので、どなたかがご決断された時点で次に入手できる可能性はほとんどなく、つまりソールドアウトとなります。

ソールドアウトした商品は、特大の鯨の歯でした

写真では分かりにくいかもしれませんが、こちらの鯨の印材はとてつもなく大きいものです。
サイズが75㎜丈×21㎜丸。
一般的な印章のサイズが、60㎜丈×15㎜丸ですから、それを遥かに凌ぐのがお分かりになるかと思います。
また同じカルシウム質の象牙であれば現在でも入手可能なサイズなのに鯨だと無理なのは、元となる素材の大きさによります。
長くて大きい象牙に対して、小さい塊のような形状の鯨の歯。
これまで10年に渡って各方面に打診していますが、全く持って見つかりそうな気配すらございません。
最近のニュースで日本がIWCから脱退するニュースも流れましたが、これだけの大きさが今後取れるかは甚だ疑問です。

またこの商品の凄さを示す指標にもなるのが、写真をご覧いただくとお分かりになりますように、同じ素材の鞘(さや)と呼ばれるキャップが付いています。
この鞘は、1回り大きいサイズの同素材をその印材だけのために同じサイズにくり抜いた完全なワンオフモデル。
鈴印でもこの鞘付きの象牙は、他にはございません。

しかもこちらの鯨を入れるケースは、現在はケース単体での販売は終了となっている、朱肉を入れる「肉池」と呼ばれる部分の蓋が象牙になっていました。
印材のみならず、ケースまでが非常に価値の高い商品でございました。

お客様の言葉は、私たちの力になります

お求めいただきましたお客様は、非常に遠方からはるばるお越しいただいた方でした。

「そろそろ実印をちゃんとしたのに変えなきゃ。そんなことを思いながら自分なりのキーワードを入れて検索したところ、5分かからずに御社の鯨の記載のあったブログにたどり着きました。失礼な話なんですが、実は夜中に軽く飲みながら拝見してたんですね。それでどうしても欲しくなっちゃってメールさせていただきました。」

お話は続きます。

「私は物の購入に一番大切なのは、ご縁だと思っています。きっかけは物ですけど、それを手に入れるかどうかはご縁です。今回直接足を運んで良かったです。」

最後に私自身の疑問、なぜこれほど高価な品を欲しいと思ったのか?
その答えは、私たちの今後を占うほどの内容でした。

「仕事柄捺印の機会が多いですから、最近は実印はもとより認印すら使う頻度は少なくなり、今後もそれは進むでしょう。だから実印としての機能だけを考えたら、ここまで良い品は必要ないのかもしれません。だけど、これを持っていたかったんです。これを手にしている自分。一言で言うなら、それに見合う自分になれるような目標ですかね。」

最後に

今回の鯨は、実は私もできれば手放したくない一品でした。
なぜなら私が鈴印に入社した時からあった品つまり親父が購入したもの、そして事あるごとにこんなことを言っていたからでした。

「これだけは直接お会いした人にしか譲れない」

そのくらい思い入れのある品でした。
そのためこれまでもHPには掲載せず、店頭もしくはブログでのご紹介に留めておきました。
それほど限定していたにも関わらず、これまで多くの方にご来店いただきました。
これまでご希望されたいたみなさまには大変申し訳ございませんが、この度とある方の手に渡ることになりましたので、この場をお借りしてご報告させていただきます。

ありがとうございました。

鈴印 鈴木延之