職人さんって一人前になるのに10年掛かるって本当なの?

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先日、とある技術職の社長さんとお話をする機会がありました。
やはり業種は違えど同じ技術職、いわゆる職人さん上がりの社長さんとのお話は、共通項も多くとても楽しいひとときです!
そして多くの職人さんを抱えるそちらのお店は、お悩みの1つが技術者の育成だそうです。
志高く入社されても、多くの方が2〜3年で辞められてしまうんだそうですね。
もっと早く一人前になることができれば、辞める人も減るのか?
私も職人をやっておりますので、その辞めちゃう人の気持ちは結構よく分かります。
まあそもそも私たち印章業は、新しく就業される人も少ない問題もあったりします。
なので、今日はそんなお話を。

2015年4月2日に書いたブログですが、2019年11月6日にリライトしました。

職人さんって一人前になるのに10年かかるって本当なの?

よく聞きませんか?「職人で一人前になるのには最低でも10年はかかる」って。
ここだけ聞くと、

なんでそんなに時間掛かるの?
もっと効率良くして、時間短縮できないの?
っていうか、そもそもその考え方って時代遅れなんじゃね?

なんて意見が聞こえてきそうですし、私も実際そう思ってました。
では経験者として実際どうなのか?
では、まず結論から申し上げましょう。

職人として一人前になるには10年かかります。

一人前とは「全部1人でできること」だから

例えば印章彫刻士の場合ですけど、どうしてもその位掛かっちゃうんです。
なぜなら1つのパートだけをマスターするんじゃなくて、全部ができるようにならないといけないから。
具体的にはハンコ職人がハンコを彫るだけなら、2〜3年やればそこそこ彫れるようになります。
でもあくまで彫ることだけがそこそこです。

ちなみにひたすら毎日続けて、最初の1年はスポンジの様に吸収しますから、毎日毎日驚くほど上達して楽しい日々。
自分でも上手くなったな〜って感じるのが2〜3年。
そしてその頃大きな壁に必ずぶち当たります!
「なんかもう、飽きちゃった・・・」
コツコツ地道にやってきて2〜3年ですから、思い返すと凄く頑張ってきたんですよ。で、自分なりにそこそこ上手くなったな〜って感じます。
でも先輩からは一向に評価されません。
だってまだまだちょっと上手に彫れるようになっただけですからね。
もちろん自分でもその自覚もあり、上を見ればキリがないのは分かってるけど、ちょっと疲れちゃうんですね。
それに一番つらいのは、以前ほど凄いスピードで上手くならなくなってきてるコトなんです。
上達している充実感がこの頃感じられなくなります。
つまり「そこそこできるようにはなったけど、あそこまではたどり着けそうもないな〜」なんて心が参っちゃうんですよ。
で、多くの職人さんはそこで辞めちゃう。

ちなみにそれは「彫る」という部分だけのお話です。
そこに「文字を書く」という技術がまた別に必要になり、そのためには文字の勉強もしなければならない。
しかも彫る作業より、書く作業の方が遙かに難しく時間が掛かります。
全体を通して想像し形にする最初の設計図ですから。
つまり部分の習得ならそれぞれ2〜3年で上達できるけど、総合力ってなると10年くらい掛かっちゃうんです。
それに教わる方の時間も有限ですけど、教える方の時間だって有限です。
一人前って「一人で全部できる」って意味ですよね?
誰にも頼らず、自分の力で全部できるようになるのには10年掛かるんですね。

最初の2〜3年の壁を越えるためには志が必要

やっぱ何事も壁ってあります。
でもその壁を越えられる人と、越えられない人との一番の違いは、その先の志だと思うんです。
私の場合は、あのうるさい親父に文句言わせない!って大きな志がありました♡

人によって様々だと思うんですが、目的はなんでもいいと思います。
でもその先の大きな目標さえあれば、必然とその途中の壁も「節を強くしてる時」と前向きに捉えられますから。
10年続けると確実に見える世界が変わります。
趣味として知識や経験がもの凄くある人でも、その事だけ10年仕事としてで取り組んだ人なんてほとんどいませんから。

またその壁を越えた時の一番の収穫は、やり続けられた心です。
やり続けられた心、つまり自信ってヤツですね。
よく言うじゃないですか?誰にも負けないコトが1つ欲しいって。
10年続けたら、確実に手に入ります。

最後に

ちょっと前に寿司職人さんの修行年数で話題になりましたよね?このお話。
最終的に一人前のレベルの問題にもなっていたようにも思います。
もちろんそれらも含めての志も必要ですし、それによっては時間はもっとかかることでしょう。

そして意外に盲点なのは、応用力。
なんらかの問題が発生した時に、10年の試行錯誤があると大概のケースをクリアしています。
っていうことは、頼られる人になるのに10年かかるってことですね。
プロとして頼りにされる、これ一番嬉しい瞬間じゃありませんか?
周りを見渡すとやっぱり、困った時に頼りにする人って、長くその道を進んでいますよね。

 

鈴印

〜印を通してお客様の価値を高めたい〜

鈴木延之
代表取締役:株式会社鈴印

1974年生まれ。
A型Rh(+)

1932年創業、有限会社鈴木印舗3代目にして、現プレミアム印章専門店SUZUIN代表取締役。専門店として、印章(はんこ)を中心としたブログを毎日発信。本業は印章を彫る一級印章彫刻技能士。
ブログを書き出したきっかけは、私の親父が店頭で全てのお客様に熱く語っていた印章の価値や役割そして物語を、そして情報が散見する中で印章の正しい知識を、少しでも多くのみなさまに知っていただきたいから・・・
だったのに、たまに内容がその本流から全く外れてしまうのが永遠の悩み♡

一級印章彫刻技能士
宇都宮印章業組合 組合長
栃木県印章業組合連合会 会長
公益社団法人全日本印章業協会 ブロック長

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