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ゴム印と持ち手の間にスポンジがある理由、ない理由

  1. スタンプ
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みなさまお使いのゴム印、実はコレいくつかのパーツに分かれて作られています。
そしてそのパーツはそれぞれ、お店によっても結構まちまちだったりします。
少しでもお安く提供できるように、少しでも長く綺麗に押せるように、その間を取って・・・等々。
ちなみに鈴印では、長く安心してお使いいただけることを第一に吟味しています。
まあ思い返せば親父からも色々厳しく言われてきましたし、逆を返すとそれだけ様々な事例があったってことなんですね。
つまり現在鈴印でご用意しているゴム印は、ある意味80年の歴史の中で最適と判断した形状になります。

3層構造は持ち手・ゴム・スポンジ。スポンジの役目は弾力の補助

まず一般的に「住所印」と言われる社名と代表者名と住所と電話番号などが1つにまとまっているゴム印の場合、鈴印では写真のように持ち手とスポンジとゴム板で構成しています。
これがお名前だけの縦0.5センチ×横3センチくらいの小さい「氏名印」や、1辺が4センチを超えるような大きい場合は異なりますので、その辺りは後述します。
持ち手もアクリルだったり木製だったり木製風だったり様々ですし、ゴム板も天然ゴムだったり樹脂だったりと様々。
簡単にそれぞれをご説明しますと、持ち手部分やアクリルや木などの硬い素材。そして印面部分はその名の通りゴムですから弾力性があります。
つまり硬い持ち手に弾力性のあるゴムを貼ってゴム印になるのですが、それだけだと綺麗に写らない場合があって、補助的にスポンジを間に挟みます。
当然それぞれに耐性や写りの良し悪しと価格が異なりますので、そこにお店にコンセプトが反映されるワケなんですが、今回はその中でも補助的役割のスポンジに焦点を当ててみたいと思います。

スポンジはサイズの違いによって変える

このスポンジはゴム印のサイズによって、厚いものや薄いもの、そしてつけないなどで最適な捺印を補助します。
スポンジの役目は上記に書いたように最適な捺印のための補助になりますが、これを間違えると非常に扱いにくいゴム印になってしまうのです。
「氏名印」はサイズが小さいので面積も小さく、その分力も入りやすいですから、ゴムの弾力のみが最適。
そのためスポンジを間に挟まないことで、ちょうどよく満遍なく押せます。

 

スポンジは厚みが1・1.5・2ミリとありますが、住所印の場合鈴印では1.5ミリを選択しています。
その理由は1ミリだと大きさに対して薄すぎて、なんとなく中央部分が写る場合と写らない場合が出てしまいます。
逆に2ミリだと厚すぎて柔らかくなり、押す人の癖によって太く写る部分と写らない部分というムラが出てしまいます。
そのため中間の1.5ミリと使用することで、やや硬めで全体に満遍なく力が行き渡る硬さにしています。
感覚的には「芯がある」硬さがちょうどいいんですね。

また4×4センチやそれ以上大きなサイズは2ミリ厚を使用したり重ねたりして、その都度捺印テストを行って一番押し心地の良い状態を探ります。
その際にはいつも、跡を継いだ頃に親父に言われたことを思いまします。
「大きいからスポンジも2ミリを2枚重ねた方が押しやすいんじゃないの?」
そんな私の質問にズバリ。

「まだまだ分かってないな。そんなに厚くしたらグニャグニャで、逆に真ん中が写らないぞ。」

実際に押してみると不思議とそうなりました。
その時に芯がある感覚を理解したんですね。
そしてその厚みが僅かでもズレると、よく写らない状態になってしまいます。

スポンジは交換できる

とは言えこれまで述べてきたのは、机の上で普通のスタンプ台を使って薄い紙に押すという、ごくごく普通に使う場合を想定しています。
ですから使用環境によって異なってくる場合も出てきます。
例えば工場などで大量に力強く押す場合。
その場合は細部まできっちりと写すよりも、印として押すという風に目的が変わりますから、普段よりも厚いスポンジを使って環境に合わせます。

また使う人によって力や押す癖、そして感覚も違ってきます。
あくまで鈴印でお納めする場合は、私たちが最適と感じる硬さに調整していますので、ご希望によってスポンジ部分のみの交換対応もしております。
また使用環境によってスポンジのみが潰れてしまう現象もあるようです。原因として考えられるのは捺印の際の傾き等の癖かと思われますが、その場合も交換可能です。
ただこれまで長くご相談いただいてる傾向としましては、ゴム部分の方が先に摩滅するケースがほとんどです。
いずれにしましても、現物をお持ちいただけましたら原因もはっきりしますので、お気軽にご相談ください。
ちなみに社外品の場合は構造上の問題から交換できない場合もありますので、あらかじめご了承ください。

写らない原因はスタンプ台にある場合がほとんど

ここまでスポンジに特化してお伝えしてきましたが、ゴム印が綺麗に押せない場合、一般的にゴムの劣化かスポンジの劣化を想定される方が多い傾向があります。
昨日も同様のご相談を受けました。
「3年ほど前にこちらで買ったゴム印が綺麗に写らないから新しいのに変えたいんです。」といったご相談。
ちなみにスタンプ台はインクの補充もされているとのことでしたが、現物を拝見しますとまだまだ問題なし。
そのため新しいスタンプ台に変えて押したところ、綺麗に押せるといった結果になりました。

ざっくり私たちが想定年数をお伝えするなら、ゴム印の耐性は約10年。スタンプ台の耐性は約5年といった感じです。
もちろんそれは鈴印でオススメしているものになりますが、ちなみにスタンプ台はこれが一番使いやすいですね。

こちらもインクを補充すればさらに長く使えるとうたっていますが、実際には一度薄くなると補充を週1などマメにしないといけないため、私たちはその時点で新しいスタンプ台に交換しちゃいます。
それだけで日々の「写らない」ストレスから劇的に解放されますからね。

最後に

途中話が逸れてしまいましたが、細かい積み重ねで最適を調整しているのがお分りいただけたかと思います。
とは言え上記でも書きましたが、お使いの環境はみなさまそれぞれ異なります。
そこには私たちが想定していないケースも稀にございます。
私たちで販売している以上は最後まで責任を持って対応していきますので、ご不便や不自由をお感じの際は現物と共にお気軽にご相談下さい。
環境に応じた最適なご提案をさせていただきます。

また理想の捺印方法も過去のブログに書いてますので、捺印でお困りであればぜひ。

 

 

鈴印

〜印を通してお客様の価値を高めたい〜

鈴木延之
代表取締役:株式会社鈴印

1974年生まれ。
A型Rh(+)

1932年創業、有限会社鈴木印舗3代目にして、現プレミアム印章専門店SUZUIN代表取締役。専門店として、印章(はんこ)を中心としたブログを毎日発信。本業は印章を彫る一級印章彫刻技能士。
ブログを書き出したきっかけは、私の親父が店頭で全てのお客様に熱く語っていた印章の価値や役割そして物語を、そして情報が散見する中で印章の正しい知識を、少しでも多くのみなさまに知っていただきたいから・・・
だったのに、たまに内容がその本流から全く外れてしまうのが永遠の悩み♡

一級印章彫刻技能士
宇都宮印章業組合 組合長
栃木県印章業組合連合会 会長
公益社団法人全日本印章業協会 ブロック長

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