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実印を彫る中で一番力を入れる工程はココ

突然ですが、ハンコを彫る工程の中で私たちが一番力を入れるのはどの工程だと思いますか?

 

ちなみに彫るには大きく分けて3工程。

1.書く

 

 

2.彫る

 

3.削る

 

さらに詳しくは過去ブログ、手彫り印鑑彫刻全行程をご紹介しますをご覧ください。

 

早速回答に参りますと、一番力を入れるのは1の「書く」工程です。

 

もちろん全ての工程に手抜きなどありませんが、その中でも一番力を入れるというか、一番大変なのが最初の書く工程なんですね。

なんでもそうですけど、0から何かを生み出す瞬間に一番エネルギーを必要とします。

 

この書いた文字を「判下(はんした)」と呼び、鈴印ではこの技術を何よりも大切に継承してきました。

現在は私の判断でご注文いただいた全てのお客様にお付けしていますが、親父の代では判下はお渡ししていませんでした。

 

本日はそんな判下に秘めた想いなどを書いてみたいと思います。

 

 

判下はお店のレシピです

親父はよく言ってました「判下はお店のレシピだ」

確かにそうなんです。

 

実印を彫るのにどうすればいいのか?その全てがここに詰まってます。

これまで80年以上に渡って伝承してきた鈴印の文字。

あの文字とこの文字の組み合わせはどうすればいいのか?

だから親父の文字をまとめた膨大な量の判下集は、今でも私の財産です。

 

 

当時は親父が判下を書いて私が彫ってましたから、彫る時にはこの判下を常に確認しながらの作業でした。

 

私は料理はできないから上手く言えませんけど、例えば食べ物でもお店の味ってあると思うんです。

同じカレーでもお店によっても家庭によっても違う。

だからお店の味を全員が理解できるようにレシピを作る。

それをハンコの場合は判下でお店の文字を決め、全員で方向性を確認するんですね。

 

そして昔って比較的、情報って閉鎖的でしたよね?

味は盗むもんだ!的な。

もしかするとレシピすらないお店も多かったコトでしょう。

だから親父も「書いた判下はお店のレシピだからお店の財産だ」と考えていたようです。

 

逆に私は、ここ最近はオープンソースな時代ですし、この判下も含めてお代金をいただいているのでお客様にお渡しすると考え、完成の際に一緒にお渡ししています。

 

 

話はちょっと逸れますけど、近年は職人さんの数も減り、特にこの判下を書ける方が減りました。

彫る技術はあっても書けない→PCの文字に頼る→時間と手間の削減により価格も安くなる。

でも結果、似たようなハンコが量産される。

まあ見方を変えるなら、お店のレシピじゃなくてクックパッド使って作るみたいな感じでしょうか?

 

 

判下は1回では完成しない

実印に使われる篆書(てんしょ)は、現在の楷書と違い、1つの文字に対して様々な文字が存在します。

そして実印は例えば4文字とかになりますよね?

なのでその前後左右の文字とのバランスを考えた上で、一番最適な文字をチョイスします。

 

でも辞書もあくまで参考にするのみ。

辞書の根拠を元に、鈴印流にアレンジします。

それでも上手くはまらない場合も多々あります。

その時はまた別の辞書を参考にしたり、アレンジ方法を変えたりして、全体の調和を図ります。

 

ここが0から生み出す大変さなんです。

たかが4文字ですけど、膨大な数の掛け算をした上で最適な形に導く。

だから手彫りが時間かかる一番の理由は、彫る速度よりもこの文字を考える時間なんですね。

 

でもレシピは全てを決める命ですから、納得いくまで何度も何度も書き直して、ようやく完成するんですね。

 

 

まとめ

お渡しの際にはいつもこんな言葉を添えています。

「この実印を彫るための最初の設計図です。手書きですから複製の心配も限りなく低いです。逆に同じものは書けませんし、彫れませんから。それにお客様のお名前に最適なレイアウトになってますから、バランスも美しいんですよ。」

 

なかなか全てをお伝えするのは難しいです。

なので改めてブログにまとめてみました。

 

鈴印での実印の仕上がりは、どうしても30分は無理です。

そして判下も1回だけと、限定させていただいております。

またご注文が確定しない段階で、判下はご用意できません。

 

でもその理由も併せてご理解いただけましたら幸いです。

そして一番力を入れる理由も同じです。

 

見方によっては簡単な最初の一歩かもしれませんが、ここで9割が決まるからです。

 

 

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